呼吸様式が睡眠中の認知機能に与える影響について、最新の研究結果や論文をわかりやすくかみ砕いてまとめています。
呼吸のしかたで、睡眠中の「脳の育ち方」は変わる
〜鼻呼吸と口呼吸、子どもに起きている本当の違い〜
「ちゃんと寝ているはずなのに、集中力が続かない」
「落ち着きがなく、ぼーっとしていることが多い」
その背景には、睡眠中の“呼吸のしかた”が関係していることをご存じでしょうか。
子どもの成長期にとって、睡眠は「脳を育てる時間」。
その質を左右する大きなカギが、鼻呼吸か、口呼吸かなのです。
1. 「鼻呼吸」と「口呼吸」は何が違うの?
呼吸は、ただ空気を吸って吐くだけではありません。
体と脳を“休ませるか・興奮させるか”を切り替えるスイッチでもあります。
| 特徴 | 鼻呼吸(理想的) | 口呼吸(要注意!) |
| フィルター機能 | 鼻毛や粘膜がウイルス・細菌をブロック | 汚れやバイ菌が直接体に入りやすい |
| 加湿・加温 | 加湿器のように空気を整えて肺へ送る | 冷たく乾燥した空気が直接入り、喉を痛める |
| 呼吸の深さ | ゆっくり深く、質の良い呼吸になる | 浅く速くなり、体がリラックスしにくい |
| 自律神経 | 副交感神経が働き、睡眠の質が上がる | 交感神経が優位になり、常に脳が興奮状態に |
ポイントはここ👇
- 鼻呼吸 → 体がリラックスし、睡眠の質が上がる
- 口呼吸 → 脳が休めず、浅い眠りになりやすい
特に子どもは、この差をダイレクトに受けやすいのが特徴です。
2. 睡眠中に「口呼吸」だと、脳で何が起きる?
睡眠中に口呼吸が続くと、脳は十分に回復できません。
前頭前野の働きが低下
前頭前野は、
- 集中力
- 感情のコントロール
- 判断力・記憶
を担う、いわば脳の司令塔。
口呼吸ではこの部分の血流が低下し、活動が鈍くなります。
酸素は吸っているつもりで足りていない
口でたくさん息をしていても、効率よく酸素を取り込めていないことがわかっています。
いびき・無呼吸につながりやすい
眠りが何度も中断され、「寝たはずなのに疲れが取れない」状態に。
3. 呼吸の違いが、子どもの発達に与える影響
研究データでは、呼吸様式と学習・運動・行動面の関連が示されています。
📊 鼻呼吸 vs 口呼吸の比較データ
| 項目 | 鼻呼吸の子 | 口呼吸の子 |
| 読解力・算数の力 | 高いスコア | 低くなる傾向(ワーキングメモリの低下) |
| 姿勢(頭の位置) | 姿勢が良い(なし) | 「とても悪い」が約半数(前かがみ姿勢) |
| 運動能力(歩行) | 6分間歩行距離が長い | 呼吸機能が低く、疲れやすい |
| 行動面 | 落ち着いている | ADHD(注意欠陥・多動性)に似た症状が出やすい |
4. 今日からできる「口呼吸」チェック
お子さんに、こんな様子はありませんか?
- いつもお口がポカンと開いている
- 朝、口が乾いている・唇が乾いている・喉が痛い
- いびきをかく・はぎしりをする
- 集中が続かず、ぼーっとしている
ひとつでも当てはまれば、睡眠中に口呼吸になっている可能性があります。
特に注目したいのは👇
- 学習(読解力・算数)
- 姿勢
- 疲れやすさ
- ADHDに似た行動特性
これらが「性格」ではなく、呼吸の問題として説明できるケースもあるという点です。
では、どうやって鼻呼吸に近づける?
そこで大切になるのが、あいうべ体操・変顔MFTです。
あいうべ体操の目的は「舌の位置」
- 舌を正しい位置(上あご)に戻す
- 口を閉じる力を育てる
- 自然に鼻呼吸できる状態をつくる
これは「意識して鼻呼吸しなさい」と言うより、ずっと現実的で、続けやすい方法です。
鼻呼吸ができるようになると、こんな変化が
① 免疫力・病気予防
- 感染症にかかりにくくなる
- いびき・無呼吸・アレルギーの改善が期待
② 脳の働きが安定
- 集中力・判断力アップ
- ワーキングメモリのサポート
- 自律神経が整う
③ お口と歯並びにプラス
- 虫歯・口臭予防
- きれいな歯並びに必要な顎の成長を発育促進します
④ 姿勢・体幹にも影響
- 猫背の改善
- 呼吸と体幹が安定し、動きやすい体へ
⑤トレーニングで鍛えられるパーツ
| 分類 | 鍛えられる具体的なパーツ |
| お口周り | 舌、口唇(くちびる)、開閉口筋、表情筋 |
| 呼吸・体幹 | 鼻、頸部(首)、横隔膜、腹部呼吸筋 |
| 全身への波及 | 姿勢の改善を通じ、股関節や足アーチなどへの影響 |
まとめ|鼻呼吸は「脳と未来を育てる生活習慣」
正しい鼻呼吸は、
✔ 脳を育て
✔ 深い眠りを守り
✔ 子どもが本来持っている力を引き出す
まさに一生の土台になる習慣です。
口呼吸を鼻呼吸へ導くことは、「お口の問題」だけでなく、脳・姿勢・全身の健康にまで影響します。
「舌の位置」は、誰も教えてくれないけれど、一生使い続ける重要な機能です。
ぜひお子さんと一緒に、楽しみながら「あー・いー・うー・べー」続けてみてください。
小さな習慣が、眠り・脳・未来を大きく変えていきます。
こうした「お口ぽかん」や口呼吸の対策として、子どもと一緒に遊び感覚でできる“お口の体操”があります。
専門的にはMFT(口腔筋機能療法)と呼ばれる方法で、気になる方はこちらの記事でわかりやすく紹介しています。



